特別養子縁組でも保護される「出自を知る権利」
養子は実親の戸籍を辿れる
特別養子縁組をすれば、戸籍上も実の子として記載されますが、子は実の親の名前を知りたければ調べることができます。逆に言えば、子が戸籍から実の親の名前を辿ることを妨げることは法律上不可能なのです。この事実を知らないままに、特別養子縁組を希望する里親が多いのではないでしょうか。里親登録前の研修会でも、この事実を説明されることはないと思います。
しかしこれは、特別養子縁組の仕組みからも明らかです。特別養子縁組が家庭裁判所の審判によって確定すれば、まず、子を筆頭者とする新戸籍が編製され、実親の戸籍から除籍された子は単独で新戸籍に入籍します。その後、この戸籍は除籍となり、直ちに養親の戸籍に、実の子と同様の記載(例えば「長男」など)にて入籍します。そして除籍とされた子の単独戸籍は抹消はされずに、行政庁の除籍簿に残り続けます。その理由はいくつかあります。その一つには、「出自を知る権利」があるためです。日本国憲法の理念である人権擁護の観点から、子は自分が誕生したルーツを知る権利があるとされるからです。その配慮として、子は実の親の名前が記載された従前戸籍(子の単独の戸籍)の登記簿を見ることができるようになっているのです。では、実親および養親なら、これを見ることができるのでしょうか?
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