特別養子縁組を隠し通すことはできない
戸籍の記載事項が、実子と養子では違う
出自を知る権利について、前回のブログでも書きましたが、特別養子縁組にて養子とした場合、養親を筆頭者とする戸籍には、子は実子と同様の記載(例えば「養子」とは記載されずに「長男」などと記載されます)となりますが、その身分事項欄において、「出生 民法817条の2」と記載されます。しかも、その個人情報欄には「民法817条の2による裁判確定日」とその日付が記載されます。ここが、実子の場合と大きく違ってきます。
もし子どもに真実告知をしないままで育った場合、学校が海外への修学旅行や短期留学を計画したなら、パスポートを取得するように求められるでしょう。パスポートの取得には、日本国籍を有することを証明するために、戸籍謄本の提出が必要であるため、役場で取得することになります。その時、養子が中学生や高校生になっていたとして、自分の戸籍に「民法」や「裁判」などの記載があれば、きっと気になるでしょう。しかも「第817条の2」って、何だろうと思うでしょう。
なお、民法第817条の2は、「家庭裁判所は、次条から第817条の7までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。」という条項です。
インターネットで調べれば、この条文の内容が特別養子縁組について規定されていることは、誰でもすぐに分かります。ネットの閲覧規制で制限できるものではありません。つまり、情報が溢れるこの時代ですから、親子間で秘密を隠す、特別養子縁組を隠すことは容易ではないのです。国(戸籍)はそもそも、特別養子縁組について配慮はしていますが、親子間の事実を隠そうとはしていないことを、理解せねばなりません。”里親制度=子のための制度”ということです。
パスポートの取得に関わらず、自分の戸籍は未成年者でも取得できます。本人であれば閉鎖された自分の戸籍が請求できますから、少なくとも実親の名前は分かります。もしかすると、そこには実親の本籍地が省略されずに記載されているかもしれません。本籍地が現住所であることは、よくあります。その家を探しに行くかもしれません。この行為を非難することなんて、できません。戸籍に過去の事実に関する記録が残すことで、子が自分の出自を知る権利を行使する手掛かりを、国はあえて与えているのです。この事実を承知した上で、養親は里子との向き合い方を考えるべきです。
だから真実告知は早い方が良いのです。育ての親から知らされず、ある程度の年齢になってから不意に知る方が、ショックは大きく、心に傷が残るでしょう。親子間の信頼関係を揺るがす事態かもしれません。特別養子縁組をした知り合いに、真実告知は済ませたけど、出自を調べることは、20歳になるまで禁止しているという方がいらっしゃいます。しかし、そのような規制(禁止ルール)は何の意味があるのでしょうか。どうしても調べたかったら、自分で調べるでしょう。知る権利を阻害するよりも大切なことは、知りたいと言ってきた時には、その気持ちを理解してあげること。そして、実親の事情も考慮して、いきなり会いに行くことは避けるよう理解させること。それでも連絡を取りたいのなら、まずはお手紙から始めること。児童相談所との連携も必要でしょう。
出自を知ることは、養親であれ児童相談所であれ、その権利を侵すことはできません。自分を産んでくれたのは誰なのか、なぜ今の境遇で生活することになったのか、その事実を知りたいと思うことは、自然の流れだと思います。その子の気持ちと向き合い、心と時間の空白を埋めてあげることが、その子の健全な生育には必要なことだと思います。
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