特別養子縁組で実親の住所は調べられるのか

2020年4月21日

実親の現在の住まいに関する情報が請求できるのか

実親の存在を知って調べたなら、会ってみたいと思うことが人の性でしょう。そのためには、実親の現在の居所に関する情報が必要です。それが記載されている公的書類は、以下の2つです。

  • 住民票
  • 戸籍の附票

戸籍の附票とは、住民票と戸籍を繋ぐもので、戸籍に記載されている者の住所の変遷が書かれています。これが取得できれば、現在の住所が分かることになります。つまり、特別養子縁組が成立した里子の立場で、この2つの書類のどちらか請求できれば、実親の居所に辿り着く可能性が高まります。しかし結論としては、事実上はできない運用になっています。その理由は、実親と里子の間には、法律上の親子関係が断絶されているために、もはや請求権がないからです。附票は戸籍に付随するものですし、記載されている者でなければ、請求できません。住民票も同様です。

しかし、可能性がないわけではありません。それは、「出自を知る権利」を行使する方法です。しかし、出自を知る権利は憲法にも法律にも明文化されていないため速やかな対応はあり得ないでしょう。特に自治体の証明書発行の窓口で「出自を知る権利」を根拠に実親の住民票や戸籍の附票を請求しても、請求権者ではないと断られるだけです。しかし、児童相談所に「出自を知る権利」を主張し情報開示請求をして、当時の縁組に関する資料の開示を求めた場合、おそらく対応はケースバイケースになると考えられます。ただし、特別養子縁組は実親と親子関係が断絶されるという制度上の理由と個人情報保護の観点から、公的資料の保存期間を超えたなどを理由に開示される可能性は少ないかもしれません。しかし、里子を受け入れたのが民間の斡旋団体なら、開示に応じる可能性があります。出自を知る権利は子のためのものであり、里親制度は子のための制度だからです。児童相談所のように、資料の保存期間をもって廃棄するようなこともしないでしょう。最終的には、情報開示請求を求める裁判という手段も残されています。

このように、里子の立場であれば、実親の現在の居所を知って会える可能性はゼロではありません。この行為を養親が遮ることはできません。里子を迎えた里親としては、特別養子縁組だから実親との関係が法律的に断絶したとしても、子の心情的にも戸籍の存在など物理的にも、完全に途絶えさせることはできないのです。この事実を認識したうえで特別養子縁組を望み、実親の存在を意識しながら真実告知を通じて、子と向き合う覚悟が必要だと思います。