虐待からの保護児童に生命の保全と通学する権利を
本日の報道で、千葉県野田市の女児 栗原心愛さん(当時10歳)が親から虐待を受けて死亡した事件について、医師から性的虐待の疑いがあるとする診断書が提出されていたにも関わらず、管轄する児童相談所は虐待をした父親の元に戻すため、一時保護を解除していたことが分かりました。私はこの痛ましい事件で強く思うことは、もっと社会の制度が子どものために成熟していれば、お亡くなりになった児童の命が救えたばかりでなく、虐待や父親からの威圧の恐怖に怯えることなく、学校にも通える状況が作れたのではないかと思います。里親制度も成熟していればきっと、その役割の一翼を担えたのだと思います。
学校に通えるとは、実は虐待などで児童相談所に保護された児童は、児童養護施設に行くのではありません。まず、緊急避難的に一時保護所に入所することになります。詳しくは、元都議の音喜多駿さんがブログで紹介されています。
虐待をした親は子どもへの依存が強く、子どもを探し出し、力ずくで取り返そうと実力行使をしようとします。このままでは児童に身の危険が及ぶことが容易に想像できます。それを防ぐために、この一時保護所は悪く言えば児童を監禁状態に置きます。児童が生活する部屋は常に施錠がされていて、窓は鉄格子が付いていて、しかも数センチしか開きません。学校に行けば親が連れ戻しに来る可能性があるので、外出はもちろん通学も許されず、施設内で学習ドリルなどをして1日を過ごします。この期間が数週間から数か月続きます。これは、児童が教育を受ける権利が損なわれていると言わざるを得ず、身の安全を守るのが最優先なのは当然ですが、学校に通う機会が奪われる現状は、見直しをされるべきだと思います。
そこで私の提言なのですが、里親制度の「一時養育」を活用することです。養育も特別養子縁組も、里親への委託は管轄の行政区(都道府県)内に限って行われているので、ネットワークを構築して地域格差を解消すべきと言うことは、前回の私のブログで主張しました。それに関係するのですが、虐待等により一時保護された児童については、同一地域に生活圏を持たない里親の元に、一時養育として預かってもらうべきだと思うのです。一時養育とは、短ければ数日、もしくは数週間から数か月の単位で、親の入院などの事情や虐待などで実の親の家庭で暮らせない児童を、里親登録している家庭で一時的に預かる(養育する)仕組みです。
近年は児童への虐待数が増加し、全国の一時保護所は定員を超えています。つまり、遠方の他地域の一時保護所に預けようとしても、定員オーバーのため受け入れは難しい状況です。だからといって、虐待をした親と同一の生活圏(行政区)にある里親家庭で預かった場合、スーパーなどでばったり会ったりとか、学校帰りに親が児童を尾行することなどが想定され、親が力づくで取り戻す可能性が廃除できません。場合によっては里親の身の安全も脅かされる事態となります。だからこそ、行政区(都道府県)が異なり、できれば関東で保護された児童なら関西や中国地方の里親の元に預けることができれば、もはや虐待をする親は子を探し出すことが物理的に不可能になります。転校の必要はありますが、学校に通う権利が守られます。子と里親の身の安全も確保できます。この方法なら、児童相談所が相互間で連携しようと努力さえすれば、今すぐにでも実現できる土壌は既に整っていると思います。その理由は、里子の待機状態の里親が、たくさんいるからです。私もその一人です。それこそ、特別養子縁組に限らず、養育里親も順番待ちの状態です。里親登録して待機している私たちは、子どもを家庭の温かさのなかで育てたいという気持ちを、強く持っています。社会的貢献をしたいという気持ちも強いと思います。
虐待される、暴力を振るう親に連れ戻される心配から、距離という物理的にも安全性が確保される状況において、安心して生活し学習できる環境を提供してあげることが、児童相談所と里親の努力により、実現できると思います。ぜひ千葉の児童虐待死という悲しい事件を教訓に、社会全体が改善に向かうことで、児童の生命と権利を保護していただきたいと願います。
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