里親委託を推進すれば施設の運営が厳しくなるという矛盾

2020年4月21日

それは、現状のように都道府県単位で児童の預け先(受入先)を探すのではなく、ネットワークを駆使して全国単位とすることです。地域によって、施設の入所率は異なります。空室のある、しかも遠方の施設に児童を預かってもらうのです。その理由は、虐待を受けた児童への対応のためです。虐待を受けた児童には、加害者である親からの危険を排除し、その生命を保全しなければなりません。その役割は、現在は一時保護所が担っていますが、それを民間の児童福祉施設に移管するのです。虐待で保護された児童は、施設が遠隔地であれば、親による連れ戻しの可能性を排除し、通学する権利を守ることができます。一時保護所では児童は外出はおろか通学することができない状況に数か月も置かれます。場合によっては年単位になることもあるといいます。この役割を、児童養護施設や乳児院に担ってもらうのです。里親との役割分担としては、里親は主に未就学児、施設は主に就学児童の一時養育とすれば、存在意義が競合しないと考えます。

これにより一時保護所の役割が軽減され、もしくは撤廃できることで経費が余剰となれば、その役割を代わりに担う民間の児童福祉施設や里親への支援に充てることができます。児童は親からの暴力や脅威に怯えることなく、施設や里親家庭から自由に通学も外出もできる生活が送れます。かつて孤児院と呼ばれ、現在は児童福祉施設として必要不可欠な存在ですが、今後に未就学児は里親家庭に預けることが第一義的な社会となれば、施設は存続のため、役割を変える必要に迫られます。その解決策の一環として、民間の児童福祉施設が一時保護所の役割を担うことができれば、親からの脅威から守るための鉄格子がなく監禁状態に置かれず、学校に通うこともできる状況が作り出せますから、子どもの福祉の面で、大いに改善されることが期待できると思います。

現在の体制と仕組みでは夢物語かもしれませんが、虐待などで身体的、心理的にも傷を負った児童が、子どもとして相応しい生活が送れる環境を作ってあげることが、私たち大人の役割ではないでしょうか。

里親

Posted by sarifa