里親制度に関する情報交換の場が必要
現在はインターネットの普及により情報に溢れていますが、里親制度である養育里親や特別養子縁組についての情報交換ができる場が不足しています。例えば掲示板(BBS)のようなものです。存在しているとしても閉鎖されていたり、事実上の休止状態だったり、随分と内容が古いサイトが多いために、閲覧しても参考にならないサイトが多くみられます。その中で、今も稼働中のサイトを調べてみました。
インターネットの掲示板から
株式会社リンクライフ・アイが運営されているサイトです。不妊治療情報としてのサイトにある掲示板ですから、不妊治療と並行しながら里親登録をされている方が多いようです。
お悩み掲示板 特別養子縁組
ミクル株式会社が運営する掲示板サービスです。特別養子縁組に関する疑問や悩みなど、悩み全般の総合的な掲示板であり、匿名で具体的な内容の質疑が交わされています。しかし悩み相談の掲示板のため、情報交換の場とはなっていません。
母親同士のコミュニティサイトです。そのBBS(掲示板)で検索すれば、養育や特別養子に関する意見を閲覧することができます。里親について言えば、母親向けのサイトなので、委託前の情報を得ることは出来ません。
facebookから
現在稼働中のページのみ集めました。Facebookの趣旨として参加者は実名登録のため、匿名で質問ができません。また、団体による運営が主なため、情報が発信されるのみの一方通行という面があります。
法律相談から
離婚・男女問題のカテゴリーから検索すれば、養育里親や特別養子縁組について、法律の立場から回答してくれています。里親としての子育ての悩みを相談する場ではないので、コミュニティとして利用することはできません。
ブログから
養育里親として、または特別養子縁組里親として、既に委託を受けている方の体験記は、ある程度存在するようです。「にほんブログ村」や「人気ブログランキング」のサイトにて検索をすれば、登録されているブログが閲覧できます。体験者からの情報を知ることができますが、情報交換としてはコメント欄にて管理者が返答する形式なので、里親間でのコミュニティの場とは違います。
その他
有名な無料掲示板がいくつかありますが、民間の営利目的(広告収入)だったり、縁組や養育希望の当事者、関係者ではない方の辛辣な書き込みが目立つこともあって、情報交換とは程遠い状況です。
このように、里親制度に関する情報交換の場は、ほとんどありません。では、どうすれば良いのでしょうか?
里親制度において、公的機関や専門家も関与する情報交換の場を
例えば、障がい者福祉や介護分野では、充実した掲示板が存在します。
福祉・介護・保険・医療系専門職のためのソーシャルコミュニティ Wel
このサイトはNPO法人が運営しているのですが、専門職の社会福祉士も相談に参加してます。福祉の専門職向けの内容ではありますが、里親も養育をする上で特別の知識や情報が必須という点では、専門職の立場と同様だと思います。サイトの運営をするのが主たる活動のNPO法人ですから、情報発信の媒体としての正確さがあります。その信頼性により、人が集まり、聞き手と応え手の役割が確立し、コミュニティとして円滑に機能しているのだと思います。
現在、多くの掲示板が休止状態になっているのは、利用頻度のほか管理の難しさにあると思います。しかし、里親制度が普及していくためには、啓発のためにも、里親制度においてもNPO法人Welのような取り組みが里親制度においても必要だと思います。国による制度や状況が変わっていくからです。里親の元には情報が枯渇しています。特に委託待ちの待機時期には、自分の現在地はもちろん、ほとんど情報を得ることができません。広く情報収集できる場とも言えるインターネットにおいても、上記のような状況です。委託を受けた後でも同様です。里親としての経験談を綴るブログも、充分なほど多いとは言えませんし、困難事例などを赤裸々に公開されているものは少ないと思います。委託開始以後においても情報は十分とは言えず、里親は孤独に陥りやすいと立場だと思います。
国は方針として、これから里親委託を増やすのであれば、自治体や関連施設、団体と協力して、子のため里親のため、積極的な情報の提供に努めていただきたいと思います。孤独になりやすい立場の里親が、同じ悩みや疑問を抱える者で繋がりが持てれば、里親家庭で暮らす子にとって、望ましい環境になって行くのではないでしょうか。
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