里子を待つことに期待と喜びを
都道府県により違いがあるかもしれませんが、児童相談所を通じて里子を迎えようとした場合、とにかく待つことに向き合わなければなりません。しかも、順番通りではなく、その待機期間の長さについても全く示されません。ある日に突然、児童相談所から電話が掛かってきて、里親として受け入れることができるのか、打診されるのです。それが里親の登録から数か月後なのか、数年後なのか、分かりません。しかも、こちらに選択肢はありません。受け入れ可否の意思表示ができるのみです。
でも、それがいい、そうあるべきだと思います。私は里親に登録するまでは、偏見の塊のような考えの持ち主でした。里親は、どこかの児童養護施設を訪れて、いいなと思う子がいれば申し出て、受け入れのための話が進むというイメージでした。悪く言えば、里親が里子にする子を見定めるというような仕組みだと思っていました。
しかし、実際は全く違います。登録すれば、児童相談所と関連機関が協議をして、里子と里親をマッチングするのです。その子の生い立ち、現在までの成育環境、年齢や性別、性格などを考慮して、その条件を受け入れる意思表示をしている里親のなかで、さらに里子と里親の相性まで推察されて、初めて里親の候補者に連絡がされます。ここで里親はこの子を受け入れる判断をすれば、これから共に生活するために、初めて接点を持つべく手続きが進行するのです。実際に養育が開始されるまでの準備としては、まずは施設で顔合わせをして、1週間のうち数日(数時間)を施設で一緒に過ごすという期間が1~2か月ほど続きます。そして徐々に外出しての触れ合い、週末のお泊り、数日のお泊りを経て、順調に行けば数か月から半年ほどで、養育開始の措置が出るというものです。
里親として受け入れの打診が来れば、そこからは怒涛の毎日です。しかし、それまでの待機時間が長いのですが、これは仕方ありません。どのような気持ちで待てるのかということが、里親として生きる人生を選んだ私たちの課題であるように思います。せっかくですから、待つ時間もプラスにして生活の糧にしたいものだと考えました。実際、里親になると決めてから、私の生活環境は、大きく変わりました。
- 子育てに対する意識が高い自治体に住むようにした
- 仕事を変えた(将来性を見込める職業にした)
- 住まいが貸家から持ち家になった(家を買った)
- 車を軽から普通乗用車にした(三世代で移動できるように)
- 夫婦でレジャーに出掛けるようになり、キャンプ用品を買い揃え始めた
このいずれも、里親として子どもを迎えようという決断をしなければ、何一つとして実行も実現もしなかったと思います。まず、夫婦の会話が増えました。子育てについての意見交換が出来るようになりました。心の持ちようが変わりました。生きて行くためのモチベーションが高まりました。人として大人として、もっと自立したいと考えるようになりました。現在はまだ里親として待機状態なのですが、既に良い面が出てきていると実感しています。里子を迎えたいという気持ちから生活の全般において前向きとなり、私たち夫婦は生きる力を得ることができたように思います。それと同じく、我が家に来てくれたなら強く望むことは、その子には生きる力を身に付けてほしいということです。血の繋がりがないこと、実の親ではないことなど、私たち養親が世間からの防波堤になるのですが、本人への強い風当たりがあることは否めません。家族となって、その絆から逆風に立ち向かうために充分な生きる力を、大切に育んであげたいと思います。
だから今は来たるべき時のため、気持ちの面でも環境の面でも整える準備をして、児童相談所からの連絡を待つのみです。
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