普通養子縁組では実親が養親の財産を取得することがある問題
普通養子縁組では、場合によって養親とともに実親も相続人となる
マスオ君が死亡したなら、相続人として、実父Aが入ってきます。つまり、波平の財産を取得したマスオ君が亡くなることで、波平が築いた財産の一部が、実親である父Aに渡ってしまうことになるのです。道楽で莫大な借金を背負い、しかもマスオ君にひどい虐待をした実父Aが、波平さんの財産を取得できるのです。これは養親である波平さんの希望するところではないでしょう。しかも、波平さんの共同相続人である妻フネや実子サザエなどは、とても困る事態になります。波平さんが遺した平家の実家も、実父Aの存在があるために、名義変更して相続できるか分かりません。
特別養子縁組を目指す里親は、子どもがいないことが多いと思います。ところが、特別養子縁組を待つには順番が長いという現実があります。世間では、「普通養子でもいいじゃない」という声もあります。しかし、財産を子に譲りたいという希望があるのなら、普通養子と特別養子には、相続において決定的な違いがある事を理解しておくことが大切です。特別養子縁組ができず、養育里親として子育てをされることがあると思いますが、養子縁組をすることには相続問題を考慮して判断されるべきと思います。
私は子を育てるという目的において子が置かれている状況で差別(区別)をするべきではないと思いますが、相続の問題がある以上、普通養子とすることには、おそらく躊躇して悩むと思います。相続問題を除いては、特別であれ普通であれ、養子縁組をすることに大きな意味が見い出せていません。養子とせずとも適切に育てることができるのであれば、入籍は事実でしかないのではないかと思います。大切なのは、家庭を必要としている子を里親として育てるということです。私が里親登録をした当時、特別養子縁組にこだわった理由は、戸籍の記載の問題と、相続問題でした。特別養子縁組でも戸籍の記載で里子であることを隠すことが出来ない以上、養育里親として区別なく子を受け入れて育てたいと考えるようになりました。
里親になられる方には、普通養子縁組では場合によっては養親の財産が実親に流れることは、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません