養育里親と特別養子縁組里親を希望するということ
里親制度の種類
里親には、4つの種類があります。
- 養育里親
- 専門里親
- 養子縁組里親
- 親族里親
このうち、私は「養育里親」と「養子縁組里親」に登録しています。養子縁組里親は回ってくる順番が長いことも理由の一つです。この表現を敢えて使っているのは、現実問題とはやや違う事実があるからです。実際は、児童相談所に特別養子縁組を希望するために里親登録した者の早い順から、順番通りに声が掛かるわけではありません。里親に登録することは自由です。夫婦揃って登録すること以外、特別な要件はありません。申請書には職業や年収、持ち家の有無など細かく個人情報を記載しますが、研修さえ満たせば、生活状態や環境など個人的な理由を元に登録が拒否されることは、基本的に無いようです。だからこそ、順番通りにはならないのです。児童相談所からすれば、安心して預けられない里親候補もいるはずです。しかし、公的な立場から里親を廃除はできません。しかし選別はできます。だから順番(登録した自治体での待機里親数)は公表されないまま、有識者と担当者による密室での議論の後に措置決定がされていくのです。子のためを考えると、必要な判断だと思います。育てる能力のない、もしくは不適切な養育環境になる可能性がある里親候補がいるのなら、児童相談所は安心して預けることができないからです。だから慎重に里親と子のマッチングが検討されるのですが、そもそも対象となる児童に比べて、特別養子縁組を希望する里親が圧倒的に多く存在する実態があります。よって、必然的に待機状態が続き、しかも長いのです。その目途すら、全く見えません。
一方、児童からすれば、自分が養育里親の家庭に行くのか、特別養子縁組を前提とした里親の家庭に行くのか、決める事ができません。実親の意向が強く働くからです。実親には、子を育てられないが、手放したくはない。だから成人するまで児童養護施設で面倒をみて欲しいと希望する人が多くいます。身勝手な話です。児童相談所からすれば特別養子縁組が望ましいと判断する子がいたとしても、実親の同意がなければ、実現しません。ということは、実親が特別養子縁組に同意しない子の場合、家庭で育つには養育里親しかありません。だとすれば、里親の多くが特別養子縁組を希望する社会にあって、養育里親の受け入れ数が少なければ、その子は家庭で育つ機会を得られないまま、施設で18歳まで育つことになります。
私が養育里親の登録をしている理由は、ここにあります。児童が置かれた状況によって、子ども側の選択肢が狭められ、生育環境に差が生じるべきではないと考えるからです。養子縁組が成立する可能性のある子ばかりが家庭での生活を望めるという現実は、著しく公平性に欠けます。これを是正したいのです。子に責任はありません。児童養護施設での生活に生き辛さを感じている子がいるのなら、上手く集団生活が出来ない子がいるのなら、家庭の温かさをもって、情緒豊かな感性が育くめる生活環境が与えられるべきです。私は、このような子を迎えたいと思っています。施設での生活より家庭の方が優れているとは断言しません。施設の方が、栄養面や文化的な触れあい体験など、管理が徹底されている点で優位性があります。しかし、施設の職員は流動的です。家庭の良さは普遍的さにあるはずです。親と子の存在は揺らぐことのない事実として関係性が構築できます。同じ空間で長い時間を共に過ごすことで信頼が生れ、安心感に繋がると信じています。血の繋がりの無い事は紛れもない事実ですし、この問題から逃れることはできませんが、その境遇と向き合うことで強く育つよう、一人の人間として向き合っていきたいと思います。そして、同じような志を持つ養育里親が増えることを願っています。
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